- 2011-01-15 (Sat) 15:37
- 山の活動
山の活動/第12回【秋元集落のてづくりMUSEUM】
今回は、高千穂町秋元集落にあるムラの暮らしを伝える展示施設と、その取り組みをご紹介します。
秋元集落は、市街地から車で約30分。谷を超え、山を超え、秘境と呼ぶにふさわしい、町内でも最も山深いところです。それが故に、自然も豊かで伝統や暮らしの文化も色濃く残っています。
今回ご紹介する展示施設も、そんな暮らしの中で使われてきた民家の石蔵、馬小屋、椎茸小屋などを自分たちの手で改装、改築し、施設自体が大変興味深いものとなっています。
長年神楽を研究してきた、森の空想ミュージアム/九州民族仮面美術館館長の高見幹司氏をアートディレクターに迎え、毎年集落内で行われる伝統的な秋元神楽の写真を中心に展示してあります。
展示施設は、昨年、秋元集落の住民と高千穂町観光協会で立ち上げられた『高千穂ムラたび活性化協議会』の一部門、秋元集落の文化財や史跡、昔ながらの暮らしをまるごと博物館と捉えた『秋元エコミュージアム構想』の重要な展示空間、交流拠点としてつくられました。
現在は、高千穂ムラたび協議会が主催する秋元集落内での各種イベント、ワークショップなどで公開されています。(※ 民家の敷地内の施設という性質上、自由に訪れ、自由に観られるというものではありません。今後、取り組みの中で定められていく予定です)
高千穂ムラたび活性化協議会では、「秋元エコミュージアム」の他に「農業」「食と民宿(オーベルジュ)」の3部門を一体化した事業を展開しています。
今回は、高千穂町秋元集落にあるムラの暮らしを伝える展示施設と、その取り組みをご紹介します。
秋元集落は、市街地から車で約30分。谷を超え、山を超え、秘境と呼ぶにふさわしい、町内でも最も山深いところです。それが故に、自然も豊かで伝統や暮らしの文化も色濃く残っています。
今回ご紹介する展示施設も、そんな暮らしの中で使われてきた民家の石蔵、馬小屋、椎茸小屋などを自分たちの手で改装、改築し、施設自体が大変興味深いものとなっています。
長年神楽を研究してきた、森の空想ミュージアム/九州民族仮面美術館館長の高見幹司氏をアートディレクターに迎え、毎年集落内で行われる伝統的な秋元神楽の写真を中心に展示してあります。
展示施設は、昨年、秋元集落の住民と高千穂町観光協会で立ち上げられた『高千穂ムラたび活性化協議会』の一部門、秋元集落の文化財や史跡、昔ながらの暮らしをまるごと博物館と捉えた『秋元エコミュージアム構想』の重要な展示空間、交流拠点としてつくられました。
現在は、高千穂ムラたび協議会が主催する秋元集落内での各種イベント、ワークショップなどで公開されています。(※ 民家の敷地内の施設という性質上、自由に訪れ、自由に観られるというものではありません。今後、取り組みの中で定められていく予定です)
高千穂ムラたび活性化協議会では、「秋元エコミュージアム」の他に「農業」「食と民宿(オーベルジュ)」の3部門を一体化した事業を展開しています。
【秋元集落のてづくりMUSEUM】
現在、ギャラリーに展示してある写真は、秋元エコミュージアム・アートディレクター、高見幹司さんの作品です。高見さんは、ご自身が主催する森の空想ミュージアム/九州民族仮面美術館のフィールドワークの一環として、二十年前から秋元集落に足を運んでいました。その縁もあり、今回の企画に参加することになったそうです。
ギャラリー石倉
「ギャラリー石倉は」、飯干美智子さん宅の石倉が展示空間となっています。石倉は明治時代に建てられたそうです。昭和三年に天井部分の改修工事が行われたことが、梁に残された墨字から見てとれます。
分かりやすい手づくり案内写真集。
写真のテーマは秋元神楽の面様(おもてさま)。2007年に美智子さん宅で開催された神楽の写真を中心にまとめられています。たくさんの神様がいて、それぞれに強い個性があります。どういう物語が展開されるのか、神楽を見たことがない人でも強く引き込まれていくことでしょう。
ギャラリー蔵之平(くらんでら)
ギャラリー蔵之平は、飯干金光さん宅の納屋が展示空間となっています。ちなみに、蔵之平を指し、古くはこの奥地一帯の焼畑で採れた穀物を貯蔵した「蔵」があった場所とも菊池一族の居城の蔵であったとも伝えられているそうです。
牛を飼っていた頃の間取りをいかし、とても素敵な空間が広がっています。
写真のテーマは金光さんのお孫さん誕生にちなみ「人、祝い」。2008年に金光さん宅で開催された神楽の写真を中心にまとめられています。女帯を締めて舞う「祝い神楽」は、高千穂神楽の特徴の一つでもあります。
鋸と手斧(ちょうな)で削りだした一枚板。何気なく置かれたものにも、途方もない歴史とロマンが秘められています。
ギャラリー客神(まろうど)
飯干敦志さん宅の椎茸乾燥倉と離れが、ギャラリー客神。
竹の灯り。外観では想像できない空間が広がっています。
写真とともに椎茸小屋の構造、村人の手業の美しさも見てとれます。
土壁に竹で組んだ天井、趣があり素晴らしいです。素材を活かしたことで、素晴らしい展示空間が生まれました。
離れは、民宿「客人(まろうど」です。築130年の温もりがありここにも写真が展示してあります。
写真のテーマは、「祈り、家族」。神楽とともに、それに携わる敦志さんのご家族を中心にまとめられています。
室内に飾られたラナンキュラスは、敦志さんが育てているもの。客人をもてなす心が溢れています。
【高見幹司さんと、スタッフの青江佐恵子さん、田中邦征さん】
右から、高見さん、田中さん、青江さん。
高見幹司さん 秋元は、奇跡的に残された日本の美しい村です。この美しさを次の時代に伝えて行くためにも、村の暮らしに触れて、楽しんで、感じてもらうことが大切です。それは、私にとっても嬉しいことです。
地域資源をどう取り上げて、どう活かすかが、地域ミュージアムの鍵となります。展示施設にしても、都市にあるような大きくて立派なものばかりじゃなくも良いんだと思います。椎茸小屋でも村に存在する資源を活かせば説得力のある立派な美術館になります。
ここには、自然・歴史・伝承・生活文化等の豊かな地域資源がたくさんあります。美しい心を持つ村人がいます。秋元エコミュージアムともてなしの極意が繋がって、地元の若い人がこの村で働き、Uターン・Iターンの受け皿となる可能性もあります。一度訪れて終わりということではなく、段階をふんで成長していく姿も一緒に楽しんでいただければと思います。
青江佐恵子さん エコミュージアムをうたっている町は全国にありますが、地域にあるものをただマップに載せただけの不親切なものも数多くあります。秋元の場合は、村の性質上、一人一人の訪問者に対して丁寧に対応し、大切にすることが大事なことだと考えています。
展示施設は、それだけが特別なものということではなく、秋元神社や桂の木、長九郎岩(ひょうくろ岩)や水車小屋と同じように秋元エコミュージアムの一つとして捉えています。その中での重要な交流拠点となります。
現在は、秋元エコミュージアムを巡るツアーのときに公開していますが、運営については課題があります。村内での理解を深め、村外からの訪問者にも正しい理解とマナーをもって楽しんでもらえるように、確かな情報を伝えていきたいと思います。
参考
秋元集落のホームページ
http://akimoto-mura.com
インターネット森の空想美術館 森の空想ミュージアム/九州民俗仮面美術館
http://www2.ocn.ne.jp/~yufuin
(レポート 藤木哲朗)
現在、ギャラリーに展示してある写真は、秋元エコミュージアム・アートディレクター、高見幹司さんの作品です。高見さんは、ご自身が主催する森の空想ミュージアム/九州民族仮面美術館のフィールドワークの一環として、二十年前から秋元集落に足を運んでいました。その縁もあり、今回の企画に参加することになったそうです。
ギャラリー石倉
「ギャラリー石倉は」、飯干美智子さん宅の石倉が展示空間となっています。石倉は明治時代に建てられたそうです。昭和三年に天井部分の改修工事が行われたことが、梁に残された墨字から見てとれます。
分かりやすい手づくり案内写真集。
写真のテーマは秋元神楽の面様(おもてさま)。2007年に美智子さん宅で開催された神楽の写真を中心にまとめられています。たくさんの神様がいて、それぞれに強い個性があります。どういう物語が展開されるのか、神楽を見たことがない人でも強く引き込まれていくことでしょう。
ギャラリー蔵之平(くらんでら)
ギャラリー蔵之平は、飯干金光さん宅の納屋が展示空間となっています。ちなみに、蔵之平を指し、古くはこの奥地一帯の焼畑で採れた穀物を貯蔵した「蔵」があった場所とも菊池一族の居城の蔵であったとも伝えられているそうです。
牛を飼っていた頃の間取りをいかし、とても素敵な空間が広がっています。
写真のテーマは金光さんのお孫さん誕生にちなみ「人、祝い」。2008年に金光さん宅で開催された神楽の写真を中心にまとめられています。女帯を締めて舞う「祝い神楽」は、高千穂神楽の特徴の一つでもあります。
鋸と手斧(ちょうな)で削りだした一枚板。何気なく置かれたものにも、途方もない歴史とロマンが秘められています。
ギャラリー客神(まろうど)
飯干敦志さん宅の椎茸乾燥倉と離れが、ギャラリー客神。
竹の灯り。外観では想像できない空間が広がっています。
写真とともに椎茸小屋の構造、村人の手業の美しさも見てとれます。
土壁に竹で組んだ天井、趣があり素晴らしいです。素材を活かしたことで、素晴らしい展示空間が生まれました。
離れは、民宿「客人(まろうど」です。築130年の温もりがありここにも写真が展示してあります。
写真のテーマは、「祈り、家族」。神楽とともに、それに携わる敦志さんのご家族を中心にまとめられています。
室内に飾られたラナンキュラスは、敦志さんが育てているもの。客人をもてなす心が溢れています。
【高見幹司さんと、スタッフの青江佐恵子さん、田中邦征さん】
右から、高見さん、田中さん、青江さん。
高見幹司さん 秋元は、奇跡的に残された日本の美しい村です。この美しさを次の時代に伝えて行くためにも、村の暮らしに触れて、楽しんで、感じてもらうことが大切です。それは、私にとっても嬉しいことです。
地域資源をどう取り上げて、どう活かすかが、地域ミュージアムの鍵となります。展示施設にしても、都市にあるような大きくて立派なものばかりじゃなくも良いんだと思います。椎茸小屋でも村に存在する資源を活かせば説得力のある立派な美術館になります。
ここには、自然・歴史・伝承・生活文化等の豊かな地域資源がたくさんあります。美しい心を持つ村人がいます。秋元エコミュージアムともてなしの極意が繋がって、地元の若い人がこの村で働き、Uターン・Iターンの受け皿となる可能性もあります。一度訪れて終わりということではなく、段階をふんで成長していく姿も一緒に楽しんでいただければと思います。
青江佐恵子さん エコミュージアムをうたっている町は全国にありますが、地域にあるものをただマップに載せただけの不親切なものも数多くあります。秋元の場合は、村の性質上、一人一人の訪問者に対して丁寧に対応し、大切にすることが大事なことだと考えています。
展示施設は、それだけが特別なものということではなく、秋元神社や桂の木、長九郎岩(ひょうくろ岩)や水車小屋と同じように秋元エコミュージアムの一つとして捉えています。その中での重要な交流拠点となります。
現在は、秋元エコミュージアムを巡るツアーのときに公開していますが、運営については課題があります。村内での理解を深め、村外からの訪問者にも正しい理解とマナーをもって楽しんでもらえるように、確かな情報を伝えていきたいと思います。
参考
秋元集落のホームページ
http://akimoto-mura.com
インターネット森の空想美術館 森の空想ミュージアム/九州民俗仮面美術館
http://www2.ocn.ne.jp/~yufuin
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