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山の料理/第4回【かっぽ酒とかっぽ鶏】

山の料理/第4回【かっぽ酒とかっぽ鶏】

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注ぐたびに、かっぽ、かっぽと音がする「かっぽ酒」

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地鶏とニンニク醤油と竹の風味もあいまって、「かっぽ鶏」

 今回ご紹介するのは、高千穂地方の郷土料理『かっぽ酒』と『かっぽ鶏』です。高千穂町岩戸地区在住の「かっぽ料理」の名人、高藤文明さん(46歳)にご指導とご馳走をいただきました。
「かっぽ」とは、「竹」のこと。竹の特性である幹の空洞部分を活かせば、酒を沸かしたり鶏肉を蒸し焼きにできる鍋のような調理器具となります。竹のエキスもしみでて、野性味あふれる味は、まさにこの地方ならではのご馳走です。

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「かっぽ料理」の名人、高藤文明さん
【竹とり】

 当たり前のことですが、かっぽ料理に欠かせないのが竹です。高藤さんの山に竹をとりに行きます。

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 「竹は※真竹じゃないといかん。」頃よい竹を物色しつつ高藤さん。※(高千穂地方では一般的に淡竹のことを真竹と呼びます)。
 一年未満の若竹は水分がすぐ蒸発するので使わず、一年を過ぎたものが調度良いそうです。幹の太さと下部に皮がついているので判断できます。幹が太いものは火が通るのに時間がかかるために、かっぽ料理には不適となります。

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根本から、竹用の鋸で伐ります。

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竹を切るときは、あまり力を入れない。引くときに少し力を入れる。

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倒した竹から、かっぽ料理にちょうど良いサイズに切り分けます。

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全て切り終わったら、竹は地面に寝かせます。

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「かっぽ酒には、このサイズ」

【竹の加工/かっぽ酒用】

 山からとって来た竹をかっぽ料理で使えるように加工します。

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かっぽ酒用のかっぽ。二節の空洞を残して加工します。

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注ぎ口を製作中。

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酒を注ぎ込む穴を二箇所あけます。

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穴をあける道具を忘れたので、竹で代用。名人ならではです。

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見事に開きました。奥の節にも開けられました。

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かっぽ酒用、かっぽ。これに、酒や焼酎を注ぎ、炭火でお燗につけます。

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枝の部分を残したまま、何ができるのか?

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取っ手がついた、竹のおちょこができました〜。

【竹の加工/かっぽ鶏用】

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かっぽ鶏用のかっぽは、一節使います。

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蓋の部分。鋸で二箇所切れ目をつけます。

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二箇所の切れ目の端の一辺を結んだところに竹きり包丁を押しあて、トンカチで叩きます。
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すると見事に蓋がぱかっと開きました。

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蓋に錐で小さな穴をあけ、竹の枝を差し込みます。取っ手です。

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小刀で、竹のささくれをきれいに取り除いて完成となります。

【下準備】

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出来上がったかっぽ酒用の水筒に、水を注いで置いておきます。乾燥を防ぎ、また、竹のエキスがしみでやすくなる効果があります。かっぽ酒は、飲む前に酒、もしくは焼酎をかっぽに入れ、炭火であぶります。

(かっぽ鶏)
材料  ニラ 椎茸(乾燥椎茸) 鶏肉(地鶏)
調味料 塩 胡椒 酒 醤油(高藤名人は、秘伝の自家製ニンニク醤油)

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作り方 

① ニラ、椎茸、鶏肉を一口大に切る。
② ボールに切った鶏肉を移し、塩と胡椒をふり混ぜ合わせる。
③ 鶏肉の入ったボールに、椎茸をいれ、秘伝のニンニク醤油とをもみ込みように味付けします。名人は、このときにニンニクを細かく刻み、それも一緒にもみ込みました。
④ ニラを入れ、混ぜ合わせます。この状態で一日置くと、より深い味がでます。
⑤ かっぽ鶏用のかっぽに入れて、下準備は完成です。

【お食事】

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かっぽ、かっぽと音がするのは、名人のなせる業です。かっぽ酒は、二日酔いにならんということで、遠慮なくいただきます。あとは、飲みながら、喋りながら、かっぽ鶏が出来上がるのを待ちます。

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出来ました〜。美味しそうに煮えています。

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素材の味の豊かさに、ニンニク醤油が絶妙です。竹の風味もほのかに香ります。名人の腕もさることながら、この料理を考案した高千穂の先人に脱帽です。

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出汁に高千穂のご飯を入れれば、最高に美味しい雑炊が出来上がります。他にはない贅沢な一品です。かっぽ酒もすすみます。

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この日は「かっぽ酒」と、「かっぽ鶏」で夜遅くまで賑わいました。
高藤名人、ありがとうございました〜!

(レポート 藤木哲朗) 
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