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January 2010

山仕事 第2回【椎茸の収穫作業】

山仕事 第2回【椎茸の収穫作業】

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 今回は、高千穂町の農家、興梠アイさん(69歳)に『椎茸の収穫』について学びました。
 宮崎県は椎茸の産地としてよく知られています。西臼杵郡内の山道を歩くと、杉木立の中に『ほだ場』(椎茸を栽培している場所)を、よく見かけます。

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 椎茸は、常緑樹が茂った山が適地で、その理由は、適度な光が入ることにあります。日光と影が、3:7の割合が良いそうです。落葉樹の場合、葉が散り直射日光の当たる割合が増えると、菌が死んでしまいますし、ぼた場が落ち葉に埋もれてしまいます。
 アイさんちのぼた場は、常緑樹の中でも良いとされる「樫の木」が茂った山の南斜面にありますので、しいたけ栽培にとても適しています。しかも、標高が630mあり、寒暖の差が大きいために、椎茸もゆっくり育ちます。だから、実の厚みがあり、コリコリととても食感が良いです。

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 アイさん「椎茸の味は、どれもそんなに変わらんもんだと思っちょったけど、プレゼントした友達が、うちのは味が違うと言うとたい。光がパラパラと、当たるとがいいとでしょうね。温度が下がりすぎると、育たんなることもあるけど、それを辛抱して太るから味がいいとでしょうね。」
 ちなみに、興梠家では、春にコマ打ちし、二夏越した10月中旬から、4月末までが収穫期となります。雨が降った次の日には、どっさりと生え、冬の寒い日には成長が遅くなります。生椎茸よりも、乾燥椎茸として販売や、プレゼントすることが多いそうです。

【椎茸の収穫作業】

① ほどよく傘を広げた椎茸を根元から、丁寧に収穫する。

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② 足もとに気をつけて、ひたすら収穫する。

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興梠家では、『ほだ木』に、クヌギを使います。樫や栗、椎を使うところもあります。

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常緑樹に日光が当たり、きらきらととてもきれいです。

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斜度があるので収穫は大変ですが、日光、雨、風が程よく流れ、美味しい椎茸を育てます。

③ カゴが一杯になったので、収穫作業終了。

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五年が過ぎ、役目を終えた『ほだ木』は、そのまま放置されますが、菌が生きていればまた、生えてきます。採りだすと切りがありません。

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山道も、自分たちでつくりました。

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④ 収穫したものは、ザルに広げ天日で半日ほど干します。

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干さずに、そのまま料理に使うこともあります

余談

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ひらたけは、榎(えのき)のほだ木に生えます。

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アイさんの亡くなったお父さんお手製の杖。山道を歩くのに便利です。

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椎茸の乾燥小屋。乾燥椎茸も美味しくて、評判です。

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興梠家の裏山がほだ場です。

 椎茸の収穫作業は、さほど難しくありませんが、ここに至るまでの作業は簡単ではありません。ほだ木となるクヌギの栽培に15年ほど。原木を伐採し、玉切りし、植菌。伏せ込み、組む。そして、ようやく椎茸の収穫となります。相当な労力と時間が必要です。このサイクルを守って持続可能な椎茸栽培ができます。そして、私たちの食卓へ美味しい椎茸がならびます。

参考
宮崎県しいたけ振興会
http://www.miyazaki-cha.jp/shiitake/
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