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山の活動

山のネットワーク第3回 【上鹿川の西京子さん】

山のネットワーク第3回 【上鹿川の西京子さん】

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 今回ご紹介するのは、延岡市北方町上鹿川地区在住の西京子さん(54歳)です。
 上鹿川地区は、国道218号線から、鹿川渓谷を遡った上流域にあり、現在、27世帯76人が暮らしています。大崩山(1,643m)、比叡山(918m)、鬼の目山(1,491m)、鉾岳標高 (1,277m)、釣鐘山(1,396m)などなど、千メートル級の山々に囲まれ、山と巨岩と清流のコントラストも美しい、ダイナミックな風景が広がる地域です。

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 西さんは六年前に、宮崎市内からご主人とともにこの地区に移住しました。植物の繊維や繭を糸に紡ぐことを生業とし、森づくりのボランティア組織、NPO法人ひめしゃら倶楽部(代表・飯干喜恵)理事や、木材をチェーンソーで削り造形物をつくる延岡チェーンソーアートレンジャー部隊(部隊長・新本比左良)事務局を務めるなど、地域住民や仲間とともに積極的に森や山村の素晴らしさを伝える活動をしています。

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山のネットワーク 第2回 【カフェ『Tali Kasin』(タリカシ)・堤台策さん、咲子さん】

山のネットワーク 第2回 【カフェ『Tali Kasin』(タリカシ)・堤台策さん、咲子さん】

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 今回ご紹介するのは、美郷町北郷区黒木地区の古民家で、Cafe&goods『Tali Kasin』(タリカシ)を営む、堤台策さんご一家です。
 堤さん家族は、台策さん(39歳)、咲子さん(39歳)、耀平君(13歳)の三人暮らし。熊本市出身で、サーフィンが趣味。毎週末、日向市の海に通っていたのをきっかけに、美郷町北郷区に移住しました。
 お店は、延岡市北方町と北郷区を結ぶ、宮崎県道20号北方北郷線沿いにあります。北方町川水流の五ヶ瀬川にかかる橋を渡って10分ほど車を走らせたら、右手に看板やのぼり旗があります。インディアンのテント(ティピー)が目印になると思います。

【Tali Kashin(タリカシ)】

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 2009年6月にオープンした、カフェ『Tali Kasin(タリカシ)』。インドネシア語で「慈愛の絆」という意味です。この名前は、2007年8月11日に、日向市伊勢ヶ浜で沖に流された中学生を助けようとして命を落とした、日向市漁業協同組合の研修生として学んでいたインドネシア人のエンダン・アリピンさん(当時21歳)の友人が、名づけました。
 当日、堤夫妻もサーフィンをしていて、その場に居合わせた縁もあり、アリピンさんの友人と友達になりました。インディアンのテント、ティピーを建てるのも手伝ってくれたり、今でも交流があるそうです。

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インディアンのテント、ティピー。

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ティピーの前に鎮座するのは、空の神様、ガルーダ。インドネシアの国章にもなっています。

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 タリカシは、築八十年の古民家を改装しているので、とても趣があります。ご家族で、熊本から週末を中心に通っては、手入れをしてきました。

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山のネットワーク第1回 【五ヶ瀬自然学校代表 杉田英治さん】

山のネットワーク第1回
NPO法人 五ヶ瀬自然学校代表 杉田英治さん


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 今回、ご紹介するのは、『NPO法人 五ヶ瀬自然学校』代表の杉田英治さん(42歳)です。
 先日、五ヶ瀬町の五ヶ瀬の里キャンプ村で催された、『第一回 山人の会(やまびとのかい)』の呼びかけ人の一人でもあります。山人の会とは、宮崎県と熊本県の、山で暮らす人、山で生きる人、山を愛する人、よそから山に移住して頑張っている人、やっぱり山が好きで帰ってきた人など、杉田さんやもう一人の呼びかけ人、西米良村の山師・田仲一成さんを中心に、個人の輪の集まりで催されたものです。
 杉田さん 「きっかけは、僕と田仲君が同じ移住組で頑張っていて、他にも若手の林業家や、大工、山に関わる仕事をしている友人知人に頑張っている人が多いので、そういう人たちを繋いだら、仕事が生まれ、何か面白いことができるのではないかと思いました」

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写真左が西米良村の山師・田仲一成さん

 杉田さんは、カヌーのプロでもあります。カナダのユーコン川(全長約3,000㎞)下りの大冒険や、五ヶ瀬町に移住してくる前は、北海道の弟子屈町(てしかが町)で、カヌーガイドの仕事をしていました。現在も、自身が運営するカヌー体験「自然屋川人」で、カヌーガイドをしています。川で遊び、川から山を見て、川から海をみてきました。
 杉田さん 「北海道の川と九州の川は、全然違います。例えば、僕がカヌーガイドをしていた釧路川は、全長100㎞ほどで、源流から海までの高低差が800mです。五ヶ瀬川は、距離がほぼ同じで高低差が1,600mもあります。倍ですね。北海道の川は、十年経っても変わりませんが、九州は二、三年で変わってしまう。一つの台風で、流れが変わってしまいます」

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 そんな川との繋がりが深い杉田さんは、川に魚が少なくなってしまった、水量が減ってしまったと感じています。これは、昔から五ヶ瀬町で暮らしてきた大工さんも言っていたことですが、昔は水量もあり、大雨が降ると、一週間ぐらいは川から水がひかなかったそうです。現在は、二、三日で水がひいてしまいます。
 杉田さんは、この原因が、山の荒廃と密接に関係していると考えています。どの地域でも、川の豊かさを知っているのは、だいたい50歳代から上の世代。水量や魚の数が減少するのが、時期的に、昭和35年からの植林事業と重なっているのだそうです。

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 杉田さん 「植林するときは、国や県が補助金をだしましたが、その後は、サポートできていません。外国産材を輸入し、国内の林業の低迷を招き、結果として森林の60%以上を占める人工林に手をつけられないという状況になりました。放棄された人工林がある山は地盤が弱く、大雨や台風が来るたびに、土砂崩れをおこし、大規模な洪水をひきおこします。そのたびに、川がにごります。清流に住むヤマメなどは、えらににごりが入ると死んでしまいます。ヤマメはそういう時には、にごりのない深い淵に非難するのですが、今ではそういう淵がなくなっています。大石が川底を転がることで、深い淵ができていくのですが、現在、そういう大石は、砂防ダムで塞き止められています。だから、いくら魚を放流しても無駄になってしまいます。一般的な河川改修では、根本的な解決になりません。森の再生こそが大切だと思います」
 山の保水力が戻れば、台風や大雨での川の増水が軽減され、洪水が減少します。林業が成り立つ仕組みも必要ですが、同時に手を出せないところは、自然の山に戻していくことで、昔のようにタプタプと水を湛えた豊かな川になる。それが、杉田さんの願いです。

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子ども時代のすごし方は重要。自然の中で感じたイマジネーションが、将来役立つ。
15年後ぐらいには、地域の中心が、今、学んでいる子どもたちになる。それが、楽しみ。 

 現在、杉田さんは、『NPO法人 五ヶ瀬自然学校』の環境体験学習を通して、そういった自然の大切さを、子どもたちや、多くの人たちに伝えています。また、放課後子ども教室や、地域内の特産品開発を通して、地域内でのコミュニケーションの充実、地域力の増幅に貢献しています。そして、自身が移住者である経験を活かし、農村活性化事業の一環として、空家情報を発信し、移住者への支援にも取り組んでいます。

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特産品開発にも取り組む。写真左はお肌に良い『山茶のお風呂』右はお米『四億年の大地』 
 
 杉田さんが五ヶ瀬町を移住先に選んだのは、自給自足が可能なエリアだからです。水は美しくて水道代は無料。夏は涼しくて快適で、作物もよくとれます。冬は、雪は降るけれども困るほどではありません。山には薪の材料がたくさんあります。「天国のようなところだよね」。薪ストーブの前で暖をとる杉田さんの周りには、今日も人が集います。「次は、水力発電に取り組みたい」。自然から得たイマジネーションが、どんどん形になっていきます。
【五ヶ瀬の里キャンプ村管理棟にて】

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NPO法人 五ヶ瀬自然学校が運営する五ヶ瀬の里キャンプ村。可愛い三坪のログハウス


NPO法人 五ヶ瀬自然学校
代表 杉田 英治
住所 882-1201 宮崎県西臼杵郡五ヶ瀬町鞍岡6452
電話 0982-73-6366
FAX 0982-73-6366
URL http://www.gokase.org

杉田英治さん プロフィール
1967年春/栃木県西那須野町に生まれる。
1993年~/デザイナーをしながら夏のみ釧路川のガイド会社ノースイーストカヌーセンターでカヌーガイドを始める。
1998年/東京中野区でデザイン会社スタジオクリーク発足。
2000年/北海道弟子屈町に移転。
2001年/宮崎県五ヶ瀬町に移転。
2002年7月/「自然屋川人」(しぜんやかわじん)蘇陽峡、五ヶ瀬川、小川などでカヌーツアーを実施。
2005年3月/特定非営利活動法人五ヶ瀬自然学校設立。初代理事長に就任。
現在/自然体験などの環境学習の他にも、放課後子ども教室、農村活性化事業、特産品の開発など、地域力を高めるネットワークづくりを手がけている。宮崎県地域づくりネットワーク協議会・西臼杵ブロック代表、宮崎県社会教育委員。

(レポート 藤木哲朗)
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