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【喜六×日向時間】宮崎にも原発ゴミの候補地!

特別企画【喜六×日向時間】宮崎にも原発ゴミの候補地!

 特別企画【喜六×日向時間】といたしまして、2006年に日向時間舎より創刊されました、暮らしを見つめるフォト雑誌、フォトメッセージマガジン『日向時間』をアーカイブスで展開したいと思います。
「本当に大切なものって何だろう?」をコンセプトに、自然に育まれて生きる郷土の暮らしを、写真家、学者・専門家、市民とともに考えてきたフォトメッセージマガジン『日向時間』。
 今回は、2006年秋号より、宮崎の自然と未来を守る会共同代表・青木幸雄氏執筆の『宮崎にも原発ゴミの候補地!』を掲載。当時のままの文章でおおくりしたいと思います。

 東日本大震災、福島第1原子力発電所事故を受け、本当に大切なものが何なのかということを、個人として、国家として問われているのだと思います。 

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http://www.hyuugajikan.com/backnumber/2006_aut/index.html
【フォトメッセージマガジン『日向時間』アーカイブス】 

放射能より、豊かな宮崎の自然や人情こそ将来世代に手渡したい
『宮崎にも原発ゴミの候補地!』
宮崎の自然と未来を守る会共同代表 青木幸雄

 今年はチェルノブイリ原発事故から早くも20年目の節目を迎えた。そうはいっても、過ぎ去った過去のことではなく現在進行形である。子どもたちを中心とした甲状腺ガンの増加や、除染作業従事者の死者が増えるなど、影響は止まることを知らない。
 同事故では、ヨーロッパを中心に激しい放射能汚染にさらされ、日本も汚染され、当然宮崎も汚染された。私が原発問題に関わるようになったのは、このときからである。現在住む佐土原町で、母が作るしょうがから放射能汚染を検出し、「これはヤバイ!」と、思ったのである。
 
 以来、原発問題に関心を寄せていると驚かされることが多い。串間新規原発構想や南郷町中間貯蔵施設問題でも驚いたが、今回の問題でも「えっ!」と驚かされた。全国のどこも受けたがらない原発ゴミの処分地(高レベル廃棄場処分地)として、全国88ヶ所のうち県内からも4ヶ所が、候補地として選定されていたからである。明らかになったのは昨年3月である。選定していたのは、動燃(動力炉・燃料開発事業団)である。岐阜県の市民団体が情報開示を求めた裁判の結果、資料が明らかにされたのである。チェルノブイリ原発事故の翌年(1987年)の資料である。
 
 動燃自体は、高速炉増殖原型炉「もんじゅ」のナトリウム漏れ火災事故や東海再処理工場アスファルト固化施設での火災爆発事故などで、改組・名称変更を重ねている。核燃(核燃料サイクル開発機構)を経て、昨年10月、原研と統合され、日本原子力研究開発機構となった。
 現在、原発は135万キロワット級といわれるような大型化が進んでいるが、普通の大きさといわれる100万キロワット級の原発でも、1日動かせば広島原爆換算で約3発分の死の灰(核分裂生成物)が生まれてしまう。1年間動かせば、優に約1千発以上の死の灰が生まれる。原発は電気も生むが、必然的に膨大な放射能という毒を生み出しているのである。私たちの社会が、このことと真剣に向き合わなければ、いずれ破局的体験を迎えることになりかねないであろう。
 
 ところで、今年3月末、青森県六ヶ所村の再処理工場で実際の使用済み核燃料を使ったアクティブ試験が始まった。再処理とは、原発の使用済み燃料からプルトニウムや燃え残りのウランを取り出すことである。残ったものが原発のゴミである。再処理工場は悪魔の工場とも言われる。原発が1年間に環境に出す放射能を、たった1日で出してしまう化学工場だからである。それまで、曲がりなりにもペレットとして固められ、金属の鞘に閉じ込められていた放射能を、切断し、硝酸液に溶かし、プルトニウムとウランと高レベル核廃棄物に分離するから、多量の放射能が出ないはずがない。宮崎県からは遠い青森県であるが思いを馳せてみてほしい。そこにも私たちと同じ住民が生活しているのである。
 
 使用済み核燃料のままも、処分の一形態だが、現在の日本は全量を再処理するとしている。従って、再処理分の形態は、プルトニウムとウランを取り出し、残った廃液を、キャニスターと呼ばれるステンレス容器の中にガラス固化したものである。大きさは外径約40センチ、高さ約130センチメートルである。たったこの大きさ1体に天文学的な数値の放射能が含まれる。人間が近づけばすぐに死ぬ。岐阜新聞にある「メモ」を借りれば次のようである。『1体あたりの放射能は「ガラス固化体をつくった時点で約40万キュリー」(植松邦彦・動燃副理事長、1984年8月、衆院科学技術委員会で参考人として発言)。これは広島原爆の30発分に相当』。1体に広島原発30発分の死の灰が含まれるというのである。放射能の量ばかりか、寿命から考えても100万年に及ぶような管理が必要なものを、処分計画では、30〜50年ほど冷却貯蔵した後、4万本を地下300〜1000メートルに埋設処分するというのである。
 
 その候補地として宮崎県からも4ケ所が優先順位を付けて選定されていたのである。1が「串間市都井、大納〜都井岬周辺」、2が「串間市・志布志町境山地地域 奴久見、柳井谷周辺」、3が「高城町・山之口町境地域」(高岡町含む)、4が「都農町・東郷町尾鈴山南西地域」(日向市含む)の4ヶ所である。(※注:尾鈴山は北西の書き込みあり)。この尾鈴地域を除けば、後は四万十層という共通点がある。高知県や鹿児島県にも四万十川層が多数候補地としてあげられていることから、花崗岩層とともに四万十層が有力な処分地層として狙われていることが分かる。その後更に、核燃の調査が明らかになった。四万十層への追跡調査であろうか、県内2ケ所で岩石が採取されたのである。場所は都城の鼻見峠と日南市白木股である。その上また、今年になって驚くべき調査が明らかになった。1999年の核燃の資料である。誰も知らないうちに宮崎市の西半分が調査されていたのである。北は佐土原町から南は清武町まで広範囲に及ぶ。四万十層の上にある宮崎層郡を調査し、地層の動きが詳細に分析されていたのである。この調査書で驚くべきは、岐阜県東濃地域の地層も同時に報告されていたことである。東濃地域といえば、直径6メートル、深さ1000メートルの穴がいくつも掘られ、地元の人たちが処分地になるのではないかと恐れている地域である、そのすぐ南の地層だ。人口密集地域に近いとはいえ、宮崎市西部も要注意なのである。
 
 現在、処分地の選定は曲がりなりにも公募形式を採っている。原子力発電環境整備機構がニューモの名前で、地元紙などに立て続けに広告を出したりしている。受け入れてもいいよというところがあれば、首長が手を挙げてくださいというわけだ。しかし、首長が手を挙げたり誘致活動があったところは、住民の猛反発にあってきた。熊本県御所浦町で、鹿児島県笠沙町、高知県佐賀町などである。この8月には奄美大島の宇検村でも猛反発にあっている。どこも地域住民が受け入れ拒否をしてきている。今回候補地として名前が明らかになった地域に限らず最も大切なことは手を挙げないことだ。更に、調査や研究などと称するものも受け入れないことである。全てはそこから始まるのである。
 
 私は生まれた「宮崎」がことのほか好きである。自然も人情も豊かであり、そのことが誇りだ。放射能より豊かな宮崎の自然や人情こそ将来世代に手渡したいものだ。

青木幸雄
1948年生 宮崎市佐土原町在住
チェルノブイリ原発事故から原発問題に関わる。宮崎の自然と未来を守る会共同代表。現代美術、工芸、地域づくり、米づくりなど感心の幅は広い。

(2006年秋号 宮崎の自然と未来を守る会共同代表・青木幸雄氏『宮崎にも原発ゴミの候補地!』より)

【放射能拡散予測サイト集】

海外の放射能拡散予測サイト集 NAVERまとめ
http://matome.naver.jp/odai/2130197592769786501

【地震情報関連リンク集】

日本気象協会 地震情報
http://tenki.jp/earthquake/

Japan Quake Map
http://www.japanquakemap.com/

一週間以内に、世界各地で発生したマグニチュード5以上の地震情報地図 (地震情報のポータル 地震情報サイトJISより)
http://j-jis.com/world/worldmap.shtml

世界の震源分布とプレート (地震情報のポータル 地震情報サイトJISより)
http://j-jis.com/data/images/wshigen.jpg

全国地震動予測地図 2009年( 地震調査研究推進本部資料より)
http://j-jis.com/data/yosokumap/

【レポート/藤木哲朗】
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